この記事でわかること
新卒でエンジニアになったのに、コードをガリガリ書くより要件定義や設計、顧客との調整ばかり……。「これで本当に技術力がつくのか?」と不安になった経験、ありませんか。
この記事では、まさにそんな悩みを抱えていた一人のエンジニアが、どうやってモヤモヤを乗り越えてキャリアを歩んできたかを紹介します。上流工程に配属されて焦っている人、これから配属を控えている人のヒントになれば嬉しいです。
- 上流工程で「技術力が身につかない」と感じる理由
- その不安が半分正解で半分勘違いである理由
- 上流にいながら技術力を落とさない具体的な工夫
- キャリアの選択肢の広げ方
「上流工程=コードを書けない」という思い込み
まず結論から言うと、当時の私は思い切り勘違いをしていました。
新卒で配属されたのは、要件定義や基本設計を担当するチーム。お客さんと話し、仕様をまとめ、ドキュメントを書く日々。周りの同期が「今日こんなライブラリ触った」「フレームワークで詰まった」と話しているのを聞くたびに、焦りが募っていきました。
このままだと、35歳になってもコードが書けないエンジニアになるんじゃないか。
当時の私は本気でそう思っていました。上流工程は「技術から遠い仕事」だと決めつけていたんですね。
でも、実際に数年やってみて分かったのは、この理解が浅かったということです。
上流工程で求められる「別種の技術力」
上流工程は技術と無縁ではありません。むしろ、下流の実装を知らないと務まらない仕事です。
例えば要件定義ひとつとっても、次のような判断が求められます。
- この要件は既存システムのアーキテクチャで実現可能か
- 実装したら性能的にボトルネックにならないか
- 運用・保守のコストはどれくらいか
- セキュリティやデータ整合性のリスクはないか
これらを見極めるには、実装の知識が必須です。技術が分からない人が引いた設計は、下流工程で必ず破綻します。
つまり上流工程で伸びるのは「実装スピード」ではなく、「技術的な判断力」と「全体を俯瞰する設計力」です。これは一朝一夕には身につかない、むしろ貴重なスキルなのです。
それでも実装力の不安は残る
とはいえ、「判断力は大事」と言われても、手を動かさなければ実装の勘は鈍ります。ここは正直な話、上流工程のリスクです。
私自身、放っておいたら確実にコードから離れていく感覚がありました。だからこそ、意識的に手を動かす仕組みを自分で作りました。
私が実際にやったこと
- 業務で扱う技術を、自分でも小さく動かしてみる
- 設計した機能のプロトタイプを個人的に実装してみる
- 週末に個人開発でモダンな技術を触る
- 社内の技術検証や勉強会に手を挙げる
特に効果が大きかったのが、プロトタイプを自分で作ってみることでした。
# 設計した機能を検証用にざっと動かしてみる
git clone https://github.com/your/prototype.git
cd prototype
npm install
npm run dev
設計書に書いた内容を実際にコードにすると、「あ、この仕様だと実装が複雑になりすぎる」といった気づきが得られます。これが結果的に設計の質を上げ、上流の仕事にもフィードバックされました。
手を動かすことは、実装力の維持だけでなく、上流工程そのもののアウトプットも良くしてくれたのです。
キャリアの軸は「今」ではなく「向き」で考える
もうひとつ、悩みを乗り越えるうえで大きかった考え方の転換があります。
それは、キャリアを「今のポジション」で判断するのをやめたことです。
新卒配属は、多くの場合あなたが選んだものではありません。会社の都合で決まります。だから、その一点で「自分のキャリアは失敗した」と考えるのは早すぎます。
大事なのは、今の経験を「どの方向に活かすか」です。上流工程で得た設計力や調整力は、後々こんなキャリアにつながります。
| キャリアの方向 | 上流経験が活きる場面 |
|---|---|
| テックリード | 全体設計と実装の橋渡し |
| アーキテクト | システム全体の技術判断 |
| プロダクトマネージャー | 要件と技術のバランス調整 |
| フリーランス | 要件定義から実装まで一気通貫 |
実装力は後からでも取り戻せますが、若いうちに全体を見る経験を積める機会は、実はそう多くありません。悪くない配属だった、と今では思っています。
不安を行動に変えるための3つの問い
もし今あなたが同じ悩みを抱えているなら、次の問いを自分に投げかけてみてください。
- 本当に技術力が「必要」なのか、それとも「なんとなく不安」なだけか
- 今のポジションで学べることを、学びきったと言えるか
- 手を動かす時間を、自分で確保する工夫をしているか
不安の多くは、正体を言語化すると小さくなります。そして「技術力をつけたい」という気持ちがあるなら、それは環境のせいにせず、自分で作れる部分が意外と大きいものです。
まとめ
上流工程に配属されて「技術力が身につかないのでは」と悩むのは、とても自然なことです。私もそうでした。
でも実際には、
- 上流工程には別種の技術力(判断力・設計力)が求められる
- 実装力は意識的に手を動かせば維持・向上できる
- キャリアは「今の点」ではなく「向かう方向」で考えるべき
この3つを腹落ちさせてから、モヤモヤはかなり軽くなりました。
配属は選べなくても、そこで何を学ぶかは自分で選べます。上流での経験は、必ず後のキャリアであなたの武器になります。焦らず、でも手は止めず、いきましょう。